第18回研究大会プログラム及び発表要旨

第18回研究大会のプログラム、発表要旨を公開します。なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開催内容等に変更が生じることがあります。詳しくはこちら。随時情報を掲載いたしますので、本サイトのトップページをご覧下さい。

日時:3月21日(土)12:30開場
場所:大阪工業大学・OIT梅田タワー

13:00~13:05 開会の挨拶
13:05~13:35 総会

※下線は登壇者。

13:50~14:20 [01]中西 淳(神戸大学・院),神谷健一(大阪工業大学),山内真理(千葉商科大学)
題目:スマートフォンを用いた英単語学習の検討―GoogleFormとKahoot!を組み合わせた授業実践をふまえて―

英語学習において,語彙学習の重要性は極めて高い(樋口, 2005)ことから,様々な工夫を凝らした英単語学習のための書籍が毎年数多く出版されている。しかし,いかなる単語帳を採択しようとも,それらに完全準拠した教科書は皆無であると言っても過言ではない。
ESP(English for Specific Purposes)などの例を挙げるまでもなく学習目的によって学習すべき英単語は様々である。授業担当者は扱う内容に応じて各領域での重要語を特定する必要性があるが,これは大きな負担であると考えられる。
本研究では,学生自身が授業で扱われた語彙から問題作成を行い,スマートフォンのクイズアプリで学習するという取り組みを行った。具体的には,授業で用いた教材の中で,学生自身がわからなかった語彙にマークを付け,各Unitの終了後にGoogle Formで日本語訳を問う四択問題を作成させた。教員はそれらを集計・整理した上で,クイズアプリであるKahoot!を用いて問題を作成し,授業中にクイズを出題した。結果,各Unitで学生が重要であると判断した語彙だけに絞った学習が可能となり,教員自身の手間が削減された。
対象者は英語を専攻としない大学1年生34名である。また,授業実施前のレベルチェックテストにおいてCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)のA2~B1と判定された。また,授業実践の学習効果を測定するために学生に事後アンケートを実施した。その結果「自分が作った問題は忘れない。」「クイズ形式でやっていて楽しかった,闘争心が芽生えた。」といったコメントが得られ,Google FormとKahoot!を組み合わせた語彙学習に高い効果があることが示唆された。
今後の課題として,各Unitの終了時にGoogle Formで集めたデータがあまりにも多岐に渉った場合や,既習語彙が別のUnitで寄せられた場合への対応などがある。考えられる一つの解決策は,分類用のタグをつけておき,問題データを効率よく抽出する手法を組み込むことである。本発表ではその解決策の一例を示すとともに,一連の手法の汎用性についても検討したい。

14:25~14:55 [02]有富 智世(常葉大学),喜久川 功(常葉大学)
題目:フランス語学習支援教材「写真描写問題」 -試作と運用-

近年、アクティブラーニングの有効性が謳われている。しかしながら、「教材の質やあり方」に因っては、学習時間のバランスは崩れ、学習効果も半減の恐れがある。発表者は、これまで初修フランス語教育における効果的な学習方法の探究から、「教科書+Web教材+eポートフォリオ」の三位一体による学習環境の整備に取り組んできた。教科書『なびふらんせ』を制作し、これと連動させて学べるWeb〈なびふらんせ〉(フランス語学習支援Web教材)の開発である。Web教材の設計では、自主学習のみならず、授業での有用性にも配慮してきた。
そこで、次なる課題として、本Web教材を活かし、語学運用における総合力(読む・書く・聴く・話す)の養成と授業内での能動学習を支援する教材の検討を行った。Web〈なびふらんせ〉には、基礎と応用の各教科書(全12課)の文法内容に対応した12課を設置し、各課に「学習コンテンツ」(【文法】【文法練習問題】【語彙と表現】【動詞活用】【動詞活用練習問題】【写真と動画】【資料】)を設けている。教科書・教材で学んだ基礎力を統合して「表現する力(技能)」を高め、協働学習において柔軟に適応可能な教材の形態を模索した結果、「写真描写問題」の考案に至った。
概略すると、【写真と動画】のコンテンツから選択した「写真」(1~4枚)をフランス語で説明(描写)するという課題ツールである。グループで〈文法〉〈語彙〉〈文化〉等の知識を補完しながら演習に取り組み、“教え合い・学び合う”中で「書く」力を養う。作成した説明文、会話文、ストーリー等をグループ毎に登録・提示して相互に「読み」、声に出して「話す」力(伝える力)も強化する。各グループの発表は、「聴く」力を試すことにも繋げられる。
本発表では、試作版の「写真描写問題」を用いて、Web教材への組み入れと教材の運用例を呈したい。

14:55~15:20 休憩・企業展示コアタイム

15:20~15:50 [03]田邉 鉄(北海道大学)
題目:コンピューティング・ポライトネス試論ー機械と学ぶ中国語

本格的なAI時代を迎え、「機械」とコミュニケーションを結ぶ、まっとうなやり方を本気で考えるべき時が来たのではないか。従来の、ヒューマン-マシンインターフェース研究は、機械との「接近遭遇」に過ぎず、いくら接近して、細部を観察し、いじくり回したとしても、相互の影響は限定的である。ユビキタスやアンビエントは「コンピュータがヒトの必要とする情報に応じて自身の振る舞いを変える」というコンピューティング観を生み出した。AIはさらに「あなたがほしかった情報はこれなのだ」と、「ヒトをディレクションする」コンピューティング観をもたらした。この流れを推し進めるならば、ヒトがコンピュータを操作するのではなく、プログラムに人格を仮想し、一連のコミュニケーション活動の中で問題が解決されていく、というモデルの方がふさわしい。このモデルに従えばたとえばGoogle翻訳の結果を「馬鹿に」するよりも、「ヒトがどう“合わせれば”Google翻訳は正しい解にたどり着けるか」と問題設定するのが望ましいのではないか。
本研究は、検索エンジンと翻訳エンジンを使った中国語学習を通して、学習者が自律的に機械とうまい関係を結び、「機械づきあい」を身につけるための授業の試みである。

15:55~16:25 [04]神谷善美(大手前大学),森本雅博(大手前大学)
題目:Web教材を用いた異文化コミュニケーション授業運用 -大手前大学el-Campus授業を中心に-

本発表は、学校法人大手前学園が開発したオリジナルのLMS(Learning Management System)であるel-Campus(エルキャンパス)の主要な機能の紹介と、大手前大学の通信制課程で設置されたオンデマンド教材を活用した「異文化コミュニケーション」授業での実践運用についての報告である。
森本は、el-Campusの開発に携わってきた。大手前大学では2010年に通信教育部を開設し、従来の通信制大学と異なるインターネットを活用した教育(e-ラーニング)を実践してきた。この教育実践を具現化するプラットフォームとして開発されたのがel-Campusと呼称する本学独自のLMSである。主要な機能として、履修登録機能や授業教材、レポート教材、テスト教材、ディスカッション教材などの各種教材の提供、また、課題の提示や提出、学生の学習進捗管理や採点管理などの機能、掲示板を利用した各種連絡、メッセージなど活用した学生間交流の機能なども実装している。
神谷は、2018年4月からリニューアルされた自作のWeb教材を2年間運用してきた。Web授業は全15回で構成され、異文化に接するための基礎知識から心構え、より望ましい対応の仕方などを考察しながら各回の課題をこなしながら進めていくという構成になっていた。課題として、受講生同士のディスカッション、ディスカッション内容を踏まえたレポート、確認テストがあった。各回の全ての課題をこなし修了が認められれば、単位修得試験を受けることができるという仕組みである。学習前と学習後にはアンケート行い、学習成果の検証を行った。

16:25~16:40 休憩

16:40~17:10 [05]杉江聡子(北海道大学)
題目:日中ガイド育成のためのeラーニング教材を用いたアクティブラーニングのデザイン

2020年東京オリンピック・パラリンピック、2030年の冬季オリンピック開催誘致のため、北海道の外国語人材育成につながる観光教育や外国語教育が求められている。通訳ガイドの資格保有者(通訳案内士)に加え、ボランティアガイドや接客サービス従事者の多言語対応能力の向上が必須であり、外国語運用技能の高い日本人、日本語運用技能の高い外国人の双方の育成が急がれる。また、言語運用能力だけでなく、異文化背景に配慮した接遇ができることや、問題やトラブルが発生した際に、即時、臨機応変に対応できる能力も必要であり、各国・地域の風俗習慣に対する理解に基づく異文化間能力も重要である。本研究では、北海道を目的地とした日中観光ガイド育成のためのモバイルラーニングシステムを開発し、それを用いたeラーニングと観光施設におけるガイド実習から成るアクティブ・ラーニングをデザインした。日本人学習者と中国人学習者による協同学習において、観光をテーマとするeラーニング、調べ学習、ガイドのパフォーマンスを組み込んだデザインの有効性と課題を混合研究法のアプローチで検証した。学習の評価は、実務専門家(学芸員)と教員による評価と講評、ルーブリックを用いた学習者間の相互評価、及び実習動画に基づく振り返りにおける相互再評価を行った。教育デザインの評価は、社会人基礎力(総務省, 2013)を援用した協同学習スキルの変化の量的データ分析、及び評価の理由に対する質的データ分析に基づき行った。本発表では、モバイルラーニング教材のコンテンツ、アクティブ・ラーニングのデザイン、ガイド実習の実際、ルーブリックの設計、学習成果と教育デザインの総合的な評価について報告する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です