2024年度 e-Learning教育学会研究大会を開催しました。

e-Learning教育学会 2024年度 e-Learning教育学会研究大会を下記のとおり開催いたします。ぜひご参加ください。

日時:2024年8月26日(月)13:30〜20:30
場所:北海道大学高等教育推進機構 S棟中講義室(S5)
共催:北海道大学研究集会
詳細などはこちらでもご覧いただけます。

<プログラ ム詳細>
13:30 受付開始
13:50 開会挨拶
14:00-14:30 口頭発表1
発表者:Guo Jingshu (Kyushu University)
発表題目:Evaluating Second Language Mobile Learning Readiness Using an Enhanced Technology Acceptance Model
発表概要:
Mobile learning has become a well-established medium for second language (L2) learners due to its ubiquitous, portable, personalized, interactive, updated, and seamless nature. This study explores the current state of readiness for L2 vocabulary acquisition through an extended Technology Acceptance Model (TAM). The TAM, a widely recognized theoretical framework developed by Fred Davis in 1985, explains and predicts the factors influencing users’ adoption of new technology. It identifies two primary factors that significantly affect users’ intention to use technology: Perceived Usefulness (PU) and Perceived Ease of Use (PEOU). This study extends the TAM by incorporating an additional determinant: Subjective Norms (SN), as proposed by Ajzen in 1985. Using structural equation modeling, data from 170 students in Japanese higher education were analyzed. The findings indicate that the determinants of L2 vocabulary mobile learning are perceived ease of use, perceived usefulness, subjective norms, and intention. The empirical results showed that subjective norms positively impact students’ intention and the actual use of L2 vocabulary mobile learning. Additionally, perceived usefulness has a more significant influence on learners’ intention than perceived ease of use. These insights highlight the importance of social influences and perceived benefits in the adoption of mobile learning technologies, suggesting that educators and policymakers should consider these factors when developing strategies to enhance L2 vocabulary acquisition through mobile learning.

14:35-15:05 口頭発表2
発表者:渡邉 ゆきこ(沖縄大学)
発表題目:外国語教育におけるメタバースの新たな可能性 「DOOR」への移行が示したもの
発表概要:
メタバースはICTを活用した教材が持つマルチメディア機能と3D空間で対話するという通信機能を併せ持っている。外国語教育にメタバースを活用し、特定の学習目的に合わせたシーンを構築して、インタラクティブなタスク学習を実現できれば、より高い学習効果が期待できる。また、メタバースの3D空間は、高い没入感を学習者に与えるばかりでなく、物体や人物の位置関係をリアルに示すことができるため、2Dの教材では難しかった指示代名詞や方位詞の学習が効果的に行えるという独自の優位性も備えている。
これらの点に着目した筆者は、2年以上にわたりソーシャルVRプラットフォーム「Mozilla Hubs(モジラ・ハブス)」を中国語の授業に活用し、その学習効果を検証して来た。しかし今年Mozilla Hubsは5月31日をもってすべてのサービスを終了すると発表したため、筆者は急遽Mozilla Hubs CloudをベースとするNTT運営のメタバース「DOOR」にシーンの移行を行うに至った。限られた時間ですべてのシーンを移行することは難しく、多くのシーンを失った上、描画ができるペン機能など「DOOR」にはない機能の使用を想定したシーンは再構築を余儀なくされた。
移行による損失は大きかったが、再構築を通してこれまで使用してきたメタバース教材がその優位性を十分に活かしていたかなど、その在り方を見直す良い機会ともなった。また、「DOOR」にはMozilla Hubsにはないインタラクティブな機能「トリガー」があり、これまでは作成が難しかったシーンの構築やタスクも可能になった。本発表は「DOOR」への移行にともなって改修・構築したシーンや新たに考案したタスクに焦点を当て、メタバース教材の新たな可能性について検討する実践報告である。

15:10-15:40 口頭発表3
発表者:齊藤 公輔(中京大学)
発表題目:動画作成は学習者の意識をどのように変えるか
発表概要:
語学教育において動画作成は比較的ポピュラーな課題である。自身の学習を振り返ったり、学習履歴を保存したりすることも容易であり、授業内プロジェクトとして設定しやすい。他方、動画作成を伴う活動が学習者の意識にどのような変化をもたらすのかという問題について、意識変化の結果が可視化される形で検討されることは少なかったように思われる。特に同一内容の活動について、目的を変えて複数回実施した場合、学習者はどのような反応を示すのであろうか。本発表は、動画作成課題を行った学習者アンケートの回答をテキストマイニングすることで、意識変化の可視化を目指すものである。
<活動の背景>
発表者が担当するドイツ語履修者と、ドイツのミュンヘン工科大学(以下MTU)で日本語を学習する学生とのあいだで、言語交換学習活動(以下タンデム)を展開する準備を進めている。これはオンライン交流となる予定である。
<活動概要>
活動テーマを「自分のタンデムパートナーを募集するためドイツ語で自己紹介動画を作成し、MTUの学生に届けよう」と設定し、自己紹介動画を作成する。学習者はすでに授業課題の一環として自己紹介動画を作成しているが、十分に満足できる完成度ではないものが多かった。そこで再度上述したテーマに設定しなおし、同一内容の課題を実施する。
<アンケート調査>
活動終了後、学習者にアンケートを実施する。第一に自己紹介の表現に関する理解度について、第二に自己紹介動画作成への意欲について質問する。授業課題として動画を作成した場合と、タンデムパートナー募集という具体的目標が与えられて動画を作成する場合では、理解度も意欲も後者が高くなることが予想される。この際、学習者の心理状況の変化をアンケート記述から読み取り、その特徴を明らかにする。

15:45-16:15 口頭発表4
発表者:廣田 大地(神戸大学)
発表題目:ChatGPTを用いた日仏タンデム学習の予行演習の実施方法について
発表概要:
発表者は、3年前より勤務大学において、フランス語を学習する日本人母語話者学生と、日本語を学習するフランス語母語話者の留学生とをペアにして、二人で毎週1回1時間自主的に集まってもらい、お互いのフランス語学習と日本語学習とを30分間ずつサポートし合うことを趣旨とした日仏タンデム学習活動を組織している。毎年、前期と後期で1回ずつ、日本語母語話者とフランス語母語話者を募集し、平均して毎期ごとに10組の日仏タンデムペアを成立させている。
これまでの経験上、タンデムを実施する場合、お互いの学習言語のレベルがB1以上に達していると、スムーズに会話が進み、学習効果も高くなる傾向にある。しかしながら、A1やA2レベルでは、まだ日常会話も十分にできず、30分間の時間を持て余してしまうこともある。
そのようなA1・A2レベルのフランス語能力しか持たない日本語母語話者学生でも、十分に日仏タンデムの機会を有効利用するための一つの方策として、ChatGPTの活用が考えられる。例えば出身大学や家族構成、年齢、性別など、ChatGPTに演じてもらう留学生の特性を、事前に詳しく指定しておくことで、実際に日仏タンデム学習での会話に近い内容を練習することができる。また、文法や綴りの間違いも、ChatGPTと会話をしながら指摘してもらうことが可能である。
本発表においては、具体的にどのようなプロンプトを指定することによって、ChatGPTとの間で日仏タンデムのための会話練習を効果的におこなうことができるのか、発表者が試みた様々な指示内容とその成果について、実際に日仏タンデム学習に参加している日本人母語話者学生に対して実施したアンケート結果を分析することで検証したい。

16:20-16:50 口頭発表5
発表者:木村 修平(立命館大学)
発表題目:PBL大学英語授業が見出す「新しい4技能」の育成ストラテジー
発表概要:
本発表では、プロジェクト学習(PBL)型大学英語授業を通じて「新しい4技能」がどのように育成されうるのかを、受講学生へのアンケートおよびインタビュー調査に基づいて検討する。外国語教育ではしばしば「読む」「書く」「聴く」「話す」という4技能が前提とされ、カリキュラム策定や授業設計の指針となるほか、多くの資格試験でも4技能に基づく弁別的評価を採用している。また、日本の英語教育のあり方や目的をめぐる議論において、「読む」「書く」は教養主義的見地と、「聴く」「話す」は実用主義的志向と紐づけられることが多い。本研究では、特に大学英語教育に焦点をあて、従来型の4技能とそれに基づく議論状況に疑問を投げかけるとともに、教養や実用とは一線を画す「汎用」という新たな象限の提示を試み、「新しい4技能」の必要性を提唱する。汎用という教育観については、初等・中等教育における近年の学習指導要領の改訂や社会的要請の変化、ニューラル機械翻訳などの技術的革新を踏まえて論じる。新しい4技能とは、学習者が取り組むプロジェクトに関連する情報を調べる「リサーチ」、調べた情報をまとめる「オーサリング」、意見やフィードバックを交換する「コラボレーション」、PBLの進捗や結果を発表する「アウトプット」である。発表者が所属する立命館大学生命科学部では3年間にわたり英語教育が必修科目および専門科目として配置され、いずれもPBL形式で実施されている。新しい4技能をPBLや探究型学習に結びつくスキル群として定義するとともに、実際の授業におけるアクティビティおよびICT(情報通信技術)活用との連関を示す。また、2023年度の3回生配当授業受講生による成長実感を量的、質的それぞれの側面から検証し、それに基づいて新しい4技能の妥当性と育成のためのストラテジーの可能性を検討する。

17:00-18:15 ワークショップ<対面のみ>
発表者:岩居弘樹・岩根久・大前智美(大阪大学)
発表題目:iPad Café in Hokkaido (ICTを活用した授業Tipsについてのワークショップ)
発表概要:
iPad Café は,授業で学生と一緒にICT を活用している方,してみたい方,今すでに色々試して いるけどもっと面白いことはないかな〜と考えている方と情報を共有する集まりです。iPad Caféでは参加者の方のご要望や困っていることを共有していただき,テーマを考えます。 皆さまの教育・学習環境や今ご興味のあることについて,以下のフォームで教えてください。

 

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